畏怖

僕は、日本在住の近代的な生活を営む24歳の男だが、時として、まるで、ウルルン滞在記に出てくるような裸族が、よくわからない祭をしている時のような声を上げてしまうことがある。



ゴキブリが出た時だ。アレが目の前に現れただけで、僕は反射的にどうかしてる人みたいな行動をとってしまう。その時ばかりは、一切の抑制も利かない。効率的にアレの対角線上に逃げながら(防御本能)、人目をはばからずにキャーキャー言う。それまで積み上げてきた威厳も、尊厳も、強制的に全てゼロへと巻き戻されてしまう。次の瞬間から、『また一から出直す』ことを余儀なくされる。悔しいが、あの虫けらにはそれだけのパワーがあることを認めざるを得ない。姿かたちは勿論、そういうところも全てひっくるめて僕はゴキブリが嫌いだ。もう、嫌いというよりも、恐いという方が正しい。大半の日本人はこうなんじゃないだろうかと思っている。



しかし、稀にだが、「ゴキブリ?平気平気。」という人知を超えた馬鹿野郎も存在する。あれは一体どういう神経をしているんだろうか。僕には全く理解が出来ない。友人にも1人いるが、彼はなんとあの強敵に、『ティッシュ2枚』という信じられないほどの軽装備で挑むのだ。そして、勝利する。自分の出来ないことをサラリとこなしてしまう人というのは、常に羨望してしまうものだが、ことコレについては全く羨ましくない。むしろ気持ち悪ささえ感じてしまうから不思議だ。



何故こんなことをこんな時間(5時!ヤベー・・・)に書いてるかというと、寝ようと思った際、部屋にゴキブリが現れ、そして消えたのである。下手に眠れないのだ。