ミッドナイトロンリーガール

先日、BS2で放送したソニンのコンサート特番。21世紀をだいぶ過ぎたというのに、うちにあるテレビにはどれも衛星放送が映らないため、録画は友人に御願いしておいた。放送翌日の深夜、浮かれモードで録画を頼んでおいたものを取りに行くと、そこには僕を余裕で上回る浮かれモードの友人がおり、何かあったのか?と訊くと、彼は彼女が出来たのだと嬉しそうに語った。僕は「おめでとう。」などと言うハズもなく、「殺してぇー。」を連発した。これから雨に打たれながら家に帰り、冷えきった体のまま、冷たい近代建築の部屋で一人ソニンのコンサート映像を見る自分と、そうしてる間に、携帯メールとかいう乳繰り合うだけしか能の無い利器を駆使し、これ以上ない顔で眠りに就くであろう彼。それを思うと、否が応にも僕のミッドナイトロンリーゲージは頂点を極め、正しく「ミッドナイトロンリーガール ソニン」を観るに値する人間となった。ここまでしてミッドナイトロンリー気分を高めてこそ、ソニンファンである。俺が、俺こそがソニンファンの鏡だ!分かったかフェイク野郎!



そんな万全の態勢でビデオを鑑賞。番組冒頭、ライブ寸前のバックステージの映像からいきなり衝撃が走る。ソニンとダンサーの方が円陣を組み、所謂「気合入れ」をする姿が映っていたのだが、その掛け声が「ソー、ニー・・・ン〜〜〜ッ!!」だったのだ。この切れの悪さは、一体何事か。果たして、最後に「ン」を伸ばす掛け声で気合いが入るのかとの疑念を抱いたが、思えば、トイレで『ある種の気合を入れ』をするときには、自然にそれと同様の状態になるのが人の子であり、もしかしてこれは想像以上に効果的な気合入れなのではないかと思えた。その証拠に、直後の映像で、テンションが沸騰し、「フォッ!フォッ!フォッ!フォッ!」言いながら手を叩いているソニンの、そのゴリラっぽさ、ジャングルっぽさは、まさに原始の鼓動を感じさせるほどで、それは「気合がMAXに入った状態」以外の何者でもなかった。



そして、コンサート映像。あの日のあの興奮がよみがえってくる。当日、僕は割と後ろの方で見ていたので、このようにソニンの表情が観れるのが嬉しい。こうして見てみると、本当にいい顔で歌っている。インタビュー映像とライブ映像が交互に流れる放送だったのだが、それが「歌ってるときのソニンはいい顔をしている」という事実をより一層鮮明にしてくれた。ソニンは、声だけではなく、顔でも歌っているのだと思えた。歌に感情を込めているとか、それも十二分に感じるのだけど、そういった『表情』とは別の話で、なんと説明していいのか分からないが、とにかく顔で歌を歌っていると感じた。アップになると、ちょっとノーズシャドウが濃すぎるんじゃないか?そんなことは一切気にならないほど、いい表情だった。



実のところ、当日はいろいろと問題のあるファンの方がいて、自信を持っていいステージだったなぁとは思えなかったのだが、今回改めて鑑賞してみて、いやいや、これはやはり、いいステージだったのだと、記憶を塗り替えることができた。ありがとうNHK。それと、弾き語りのシーンを観ていて、つんく♂がこれを観て(現場に来てました)、ソニンにフォーク調の曲を歌わせたくなったのにも、なにか合点がいった。その2点が、個人的な収穫でした。あと、やっぱり僕は歌を歌ってるソニンを観るのが好きなんだなぁと、改めてそう思いました。