ブックオフ

予想外の収入というか、所謂「アブク銭」が入った場合どうするか。それが5,6千円という中途半端な額だった場合、堅実な方なら貯金をしたりするのであろうが、僕はとりあえず使わないと気がすまない性質だ。しかし、酒飲みではないからそれで飲もうという思考にはならず、ギャンブルも全くやらないので、これを元手に・・・といった思考にもならない。かといって、服を買ったり家電を買ったりするには圧倒的に足りない。そうなるとどうするかといえば、やはり、ブックオフだろう。欲しいものが特に無いのに金を使いたい、そんなときはブックオフ以外考えられない。ドン・キホーテもかなりヤバイことが知られているが、やはりブックオフである。ブックオフで5,6千円使えば、それは『豪遊』と呼んでなんら支障がない。「金を使いたい欲」は、十二分に満たされるだろう。そして、何故ブックオフかといえば、僕はブックオフに入って手ぶらで出てきたという記憶がないからだ。行けばなにかしら買って帰ってくる。この間もそうだった。友人からハロープロジェクト界のレアグルーヴこと、ココナッツ娘。のCDを全て借りた次の日、僕はブックオフにいた。ココナッツ娘。の曲の想像以上の素晴らしさに感動(自分の中では、太陽とシスコムーンとEEJUMPに並んだ)し、全シングル購入を決意したからだ。しかし、ココナッツ娘。のシングルCDは噂に違わぬレアグルーヴっぷりを発揮しており、懸命の捜査にも関わらず発見に至らなかった。気がつくと僕は、特に欲しくもないのにシェキドルの1stと2nd、青色7を買って帰ってきていたのだった。さも、当たり前然とした顔をしてだ。とりあえず金を使いたい、そういう精神状態の人間にとってブックオフは正にうってつけなのである。



話を『アブク銭を使いたい欲』に戻すが、そんな状態でブックオフに行った場合、欲が満たされると同時に、危険も伴うということを忘れてはならない。その危険とは、建設的に金を使うという思考が大幅に鈍るということだ。元より、『アブク銭を使いたい欲』に突き動かされている訳であるし、なにを今更と言う感じだが、折角なら実のある買い物をしたいと思うのが人間であり、小市民である。上述の通り、特に欲しくも無いハロプロCDを買ってしまうことも危険の一つである。建設的とは言い難い。あと、買うということそれ自体で満足してしまいそうな本、例として、この間に実際にあった話をすると、「田原俊彦が全盛期に出したと思われる自叙伝みたいなやつ」なんかも危険の一つである。たとえ買ったとして、読むはずが無い。読むバカはいない、と言い換えてもいい。しかし、何故か買いたい。パラッと中を見ると、トシちゃんが『狂い咲き』以外に形容できない程に派手なスーツで墓参りをしている写真などがあり、そのヤバさに無性に惹かれる。しかも100円だ。買ったとて何も被害は被らない。たかだかうまい棒10本分の損失じゃないか。と、この思考がマズイのだ!! 



実に危険思想である。『うまい棒10本分』で本が買えるとなると、同じ100円があったとして、うまい棒10本と本一冊買うのではどちらが得か、というようなわけの分からない、しかし妙に説得力のある思考に陥ってしまうのだ。ここで我々が思い出さなければいけないのは、うまい棒を10本買う、という機会になど人生の中でそうそう巡りあわないということだ。人によっては、それが5円チョコ20個分であったり、もしくは画用紙に酢だこの味を染みこませたような謎の駄菓子10枚分であったりするかもしれないが、そんなものをまとめ買いすることなどまずない。むしろ、そんな機会があったら、それは自分が只事じゃない何かに巻き込まれている可能性がある、ということを頭に叩き込んで置かねばなるまい。身の危険を感じるに充分な事態だ。つまり、それらは最初から比較する対象にすらなりえないのである。そして、人はそこでやっと気がつくだろう。トシちゃんの自叙伝が、自分にとって紛れも無くゴミである、ということを。しかし、そんなものはまだ生易しい危険に過ぎない。元からトシちゃんファンではないからだ。では、もっとも危険なものとは果たして何なのだろうか。この際、ってどの際だかしらないが、この際、断言してしまおう。



それは、小倉優子の写真集である。



たいしてファンという訳じゃないが、「ロンブー龍」等に出演しているところを見て、その異常な面白さから、かなり興味が沸いてきている小倉優子。身銭を削ってまで買おうとは思わないが、なんとなく見てみたい。というか、見たい。値段はせいぜい2.3千円がいいところだろうか。手元には、どうとでも使える5千円がある。しかもそれを今日にでも使ってしまいたい。様々な状況が絡み合い、実に危険である。「ゆうこりん」という謎の暗号が思考回路を侵食する。「こりん星」という秘密のドラッグが判断能力を奪う。そうこうしてるうちに、どんどん可愛く見えてくる。いやまて、これを買ったら流石にマズイのではないか。なんか、今後のこととかよく分からないけどいろいろヤバイのではないか。でも、どうせこんなサイトをやっているワケだし、去年一年間なんてサイトにアイドル以外の記述をしてないワケだし、ほら、ラヴマシーンフィギュアだって買ったし、いまさら気にすることなんてなぁ?どうせ誰も見てないし言わなきゃバレないし・・・って、アブネェ!!!その日、何も買わずに、まるで逃げるようにブックオフを後にした男がいるという。これだけは声を大にして言いたい、小倉優子の写真集だけには近づいちゃ駄目だ!ダメ、ゼッタイ!